初めてのユニバーサルデザイン

小学生から大人まで、ユニバーサルデザインに興味がある人のために、 基本的な内容をわかりやすく解説します。

もっと知りたい!ユニバーサルデザイン

詳しい内容や専門的な知識を必要としている人のための情報を掲載しています。

ユニバーサルデザインの理念

1. 7原則とADA(障害をもつアメリカ人法)

 ユニバーサルデザインが生まれた背景には、キング牧師に代表される公民権運動が、障害をもつ人の権利運動に影響を与え、彼らの運動が法整備を促進させてきた経緯がある。なかでも1990年に施行されたADA(アメリカン・ディザビリティーズ・アクト)は、障害のある人が利用しにくい施設を「差別的」と位置づけ、雇用の機会均等と、製品やサービスへのアクセス権を保障したエポックメーキングな法律である。  ADAは広範囲にわたり、障害のある人の権利保護を定めている。人がたくさん集まる所ならどこでも、小売店であれ、美容院であれ、バリアがあってはいけないとしている。しかし、すべての製品やサービスを対象にしているわけではなく、法律の基準を満たしているからといって、日常生活のさまざまな場面で不便を感じるのは否めない。  ロナルド・メイスは、法律の限界を踏まえて、障害のある人を特別視せずに、あらゆる人が快適に暮らすことができるデザインとして、ユニバーサルデザインを提唱した。ロナルド・メイスが唱えたユニバーサルデザインは次の7原則で構成される。

 【写真左:故 ロナルド・メイス】
ユニバーサルデザインの7原則
原則1 誰にでも公平に利用できる
原則2 使う上で柔軟性に富む
原則3 簡単で直感的に利用できる
原則4 必要な情報が簡単に理解できる
原則5 単純なミスが危険につながらない
原則6 身体的な負担が少ない
原則7 接近して使える寸法や空間になっている

2. バリアフリーとは発想の起点が異なる

 ユニバーサルデザインの提唱者はノースカロライナ州立大学(米)のロナルド・メイスである。自身も身体に障害をもつ彼は1980年代、それまでのバリアフリーの概念に代わって、「できるだけ多くの人が利用可能であるように製品、建物、空間をデザインすること」をユニバーサルデザインとして定義した。

 一口に障害をもつ人といっても、視覚、聴覚、肢体、内部、知的など、さまざまな障害があるし、同じ障害でも程度の差がある。また誰もが、ケガなどで一時的に障害をもつこともあるし、言葉のわからない土地に行けば移動制約者となる。

 ユニバーサルデザインは、“すべての人が人生のある時点で何らかの障害をもつ”ということを、発想の起点としている点で、それまでのバリアフリーデザインとは大きく異なる。そこには、かわいそうな人のために何かしてあげようと いう慈善はない。

 障害の部位や程度によりもたらされるバリア(障壁)に対処するのがバリアフリーデザインであるのに対し、ユニバーサルデザインは障害の有無、年齢、性別、国籍、人種等にかかわらず多様な人々が気持ちよく使えるようにあらかじめ都市や生活環境を計画する考え方である。

 都市空間であれば、誰もが歩きやすいように電柱を地下に埋設した道路、多言語表記のわかりやすいサインなどがあげられる。建物であれば自動ドアや多目的トイレ、日用品であれば、テレホンカードの切り込みやシャンプー容器のギザギザが、ユニバーサルデザインの代表例だ。

 ユニバーサルデザインによって、バリアフリーデザインがなくなるかといえば、そうではない。たとえば、まちでよく見かける黄色の点字ブロックは、バリアフリーデザインの代表例だが、ユニバーサルデザインのまちづくりという全体的なデザインのなかでは、ユニバーサルデザインの一部となる。

 ユニバーサルデザインの領域は製品、施設、都市などの目に見えるものから、サービスやシステムなどの目に見えないものまで多岐にわたる。それらが関連し、補完し合わなければ、ユニバーサルデザインの社会は実現できない。

 

【写真左:背の高さに無関係に外の様子がうかがえるドアの採光用スリット】
【写真右:リハビリテーション法は公共の輸送施設など、連邦関係の施設を障害を持つ人に利用しやすくするように規定】

 

【写真左:ユニバーサルな遊び場、建築ゾーン】
【写真右:適正住宅供給法では障害を持つ人が暮らしやすい集合住宅のデザインを義務づけている】

 

【写真左:聴覚、視覚、触覚に働きかけているデザインのサーモスタットとリモコン】
【写真右:広いトイレは車イス利用者に限らず、ベビーカーを携えた親や、大きな荷物をもつ人などにも快適に使える 】

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