日本から世界まで。さまざまなUD活動を紹介 ユニバーサルデザインの今

ユニバーサルデザインの取り組み事例を3つに分類してご紹介。
街づくり、モノづくり、ヒトづくり。いずれも連関していますが、興味のある分野から、ぜひご覧ください。

富士山こどもの国

富士山の裾野に広がる広大な公園。溶岩を積み上げた「溶岩谷の遊び場」、すすきが一面に広がる丘には子どもの国列車が走る。「富士山こどもの国」では、すべての来園者がそれぞれの個性に応じて、自然と親しみ、生き生きとした時間を過ごすことができる。(詳細は本誌07号)

○○○○○○のユニバーサルデザインのイメージ

ユニバーサルデザインを盛り込む

  静岡県富士市にオープンした富士山こどもの国は、本格的なユニバーサルデザインの公園として静岡県によって計画・建設された。
 こどもの国は、静岡県の「県土新総合公園構想」の中で「こどもの夢とロマンを育む公園」として、1990年に構想された。県内の子どもたちに「こどもの国夢募集」を実施し、その結果、「森、水、大地そして友、夢と感動を求め、のびやかに生きる」という基本テーマが決定された。
 さらに計画では、自然環境の保全と新たな自然の創造とともに障害をもつ人たちを含めた幅広い人たちに楽しんでもらうため、ユニバーサルデザインに配慮した。園内には60カ所以上ものユニバーサルデザインのアイデアが取り入れられている。県職員、設計者、ユニバーサルデザインの専門家を中心に、車イス利用者や視聴覚に障害のある人などの意見を取り入れて、ユニバーサルデザインの仕様が決められていった。

子どもたちが自主的に遊べるプログラム

  週末には、「くさばな探検隊」、「こどもの国冒険王伝説」など、さまざまなイベントが開催され、来園者は好きなプログラムを選んで自由に参加できる。夏休みには子どもたちのキャンプも行われる。これらの運営は、プレイリーダー(職員)とパートナーと呼ばれるボランティアの協力態勢のもと実施されている。プレイリーダーとパートナーは、子どもたちが自主的に遊べるように雰囲気づくりをしたり、遊びのサポートを行う。

盛んなボランティア活動

  富士山こどもの国には、U-DOと呼ばれるもう1つのボランティアグループの活動がある。
 UDOは、富士山こどもの国に採用されたユニバーサルデザインの維持、発展を目的にしたボランティアグループだ。パートナーや建設に携わった県職員、設計者、盲導犬利用者など23人で2000年春に結成された。毎月1〜2回、現地でワークショップを開いている。

障害をもつ人と子どもの自然な交流

  ユニバーサルデザインの公園ということで、車イスを利用している人、盲導犬と一緒の人など障害のある人たちも数多く来園する。養護学校の修学旅行などの利用も増えているが、その際には、プレイリーダーが事前に引率教員とコースの打ち合わせをする。
 障害をもつ人たちと子どもの交流が自然に生まれ、思わぬ効果を生んでいる。整備されてきたとはいっても、まだまだバリアの多いまちの中では、障害をもつ人たちと出会う機会は少ない。しかし、ここでは、違う。大自然の中で子どもたちは、今まであまり出会ったことのない車イスの人たちや盲導犬を連れている人たちと出会い、交流が生まれ、さまざまなことを学んでいく。来園した子どもたちの心に、知らず知らずのうちにユニバーサルデザインの芽が育まれ、まちで障害をもつ人たちと出会ったときにも、自然と助け合えるようになっていくことがスタッフをはじめ、富士山こどもの国に関係する大人たちの願いだ。

製の触知板
園内の配置、自分のいる場所がわかる
触地図
自然石やモザイクタイルなどを組み合わせた遊び心のあふれる触地図
ピクトサイン
凹凸でで方向がわかるピクトサイン。分岐点には自然石を積み上げた塚があるン
木製の触知図
玉石を使った注意喚起表示ブロックと木製の触知図
ピクト丸太
絵タイルをはめ込んである
霧対策用の誘導照明
モザイクがきれいな霧対策用の誘導照明
スロープカー
車イスや利用者用のスロープカー
園内移動用自動車
列車の形をした園内移動用自動車
レイズドベットと水陸両用の車イス、写真右:夏は水の国で人気の遊具
レイズドベットと水陸両用の車イス
人気の遊具
夏は水の国で人気の遊具
階段と手すり
階段と手すり
施設出入口
施設出入口
水路
浅い水路

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